著者:ミソノ(34歳・女性)
大学病院へ勤務後に民間病院へ。
管理職を務めつつも看護研究を行っている
皆さんこんちわ!
看護部のミソノのです。
あなたは「1人夜勤」をしたことがありますか?
大変ですよね・・・。
夜勤だけでも大変なのに、それが1人になると極限状態の忙しさ。
実は私も1人夜勤で苦しんだ経験があります。
先日の学会でも話をしましたが、1人夜勤は心身への負担が無視できないほど大きいのです。
そこで今回は「1人夜勤を改善した方法」をご紹介したいと思います。
実際の事例と合わせてごらんください。
1人夜勤の事例
私が30代の仲間入りをした頃の話です。(当時勤めていた病院)
当時はとにかく夜勤の毎日でした。
当直は月8回ほどですが、準夜を入れると16~18回にもなります。
しかも誰かが休めば夜勤はさらに増え、日勤なんて数えるほどです。
さらに毎月の休みはいつも削られ、月に6~8日しかありません。
師長に指摘しても「他の月で帳尻を合わせるから」とのこと。
もちろんそれが実現するはずもなく。
ご想像がつくかと思いますが、この病院は人手不足がかなり深刻だった訳です。
ということもあり、当直の夜勤は基本1人でした。
夜勤が一人では座る暇もありません。
もちろん休憩なんてありません。
水分補給は立ってお茶をガブ飲みしていました。
無心で作業をこなして、朝が来るのを願うばかりです。
重症患者さんがいた時期は、般若のような顔で働いていたと思います。
無事に夜勤が終わっても、スーパーに寄ってそのまま自宅へ直行し、食って風呂に入って寝るだけ。
仕事以外をする余裕は全くありませんでした。
もちろん楽しいプライベートなんて何ひとつもありません。
そんな職場ですから、看護師の入れ替わりがそれは激しいものでした。
人が入っては辞め、入っては辞めの繰り返し。
いつまで経っても人手不足は解消しません。
予想外の師長代行
そんな時、師長が心労のため急遽休職することに!ちなみにこの師長は鉄人ナースと呼ばれているほどタフな方です。
54歳でありながら、夜勤もこなすベテランナース。
(一番左が元気なころの師長。地元のスポーツクラブの応援に行った時の写真。私は一番右)
私「人類が滅んでも師長は生き残りますよ!」
師長「あたしゃゴキブリかい!」
なんてイジりがいのあるほど体の強い方でした。
その師長が倒れてしまうような職場だったのです。
それからのナースステーションはお通夜状態。
しかし悲しんでばかりはいられません。
患者さんは目の前にいるのですから。
そんな時、私は院長から呼び出しを受けます。
「キミ師長やってくれないかな?」
「え?わたしっすか!?」
予想外の展開に驚きました。
師長はいつ復帰できるか分からない。
その間に管理者がいないのはまずいよね。
だからやってみてよ。
と、私に白羽の矢が立ったのです。
「なるほど。やってみますか!」
「おっ!よろしくね!」
こんな感じで病院の人事は決まっていくのです。
ちなみに私の肩書は師長代行でした。
「あんたが師長なんて冗談でしょ?」
当時の友人からはよくバカにされました。
もちろん自分自身でも荷が重いのは分かっています。
でもそれ以上にこの劣悪な環境を改善したいという思いが強かったのです。
「皆さんおはようございます!急遽師長になったミソノです!改めてよろしくね!」
「ミソノ!期待してるよ!」
「ミソノ代行!」
「代行!(笑)」
職場環境は劣悪でしたが、雰囲気だけは良い職場でした。
職場改善はできるのか?
問題は山積みです。まずは人手不足を解消しなければいけません。
特に夜勤ができるナースは急募でした。
当時の夜勤アルバイトは1回こみこみで16,000円。
1回30,000円の平均相場に逆らう低賃金。
問い合わせの電話をかけてきたナースが金額聞いたとたんガチャ切りしたこともあるくらいです。
院長は涙目でしたが、話を聞いていた誰もが「当たり前だろ…」と思っていました。
(手作り感満載のチラシ。これで応募が来るわけもなく…)
そこで院長に直談判。
「夜勤バイト30,000円で求人出しましょう!」
「そうしたいんだけどお金がないんだよ…」
「このままだと看護師みんな辞めちゃいますよ!?」
「それは困るな…」
「院長!」
「…」
ということで早速、求人サイトで募集をかけることに。
しかし2週間経っても応募者0人!
看護師の採用がここまで難しいとは…。
そこで人材紹介会社に頼んで紹介してもらうことに。
これで1人、2人ポツリポツリと看護師が入ってきてくれました。
オカルトという大問題
ただし「看護師が辞める」という問題もありました。その原因として一番大きかったのがオカルト問題です。
その病院は、阪神大震災のときにご遺体が大量に運び込まれた過去があり、その方々の霊が現れるというのです。
スタッフからも患者さんからも報告がありました。
なんでも階段の踊り場に何名かいらっしゃると言うのです。
(噂の場所。見える方には見えるらしいですが…)
私にはさっぱり見えませんが、気になる人は気になるものですよね。
しかも夜勤は1人です。
夜勤中は、階段が見えないよう防火扉を閉めているナースもいました。
「扉を閉めると消防法に違反するから」
「でも怖いんです!」
「うーん…でもねぇ…」
「もう無理です!辞めさせてください!」
「ちょ、ちょっと待って!」
これはイカンということで、霊媒師の方に急遽来てもらうことに。
院長の同級生とのことですが、その界隈では有名な方なようです。
1週間かけて成仏していただくことに。
その甲斐があったのか、それからはそうした話は少なくなりました。
個人的には「プロに来てもらった心理的な安心感が良かったかな」なんて風にも思います。
切っても切れない相性問題
そんなこんなで少しずつ看護師が増えていきました。人手不足もある程度解消し、1人夜勤も減りつつありました。
しかし夜勤が2人になると当たらな問題が出てきました。
そうです。相性問題です。
長い夜勤をギスギス過ごすのは辛いですからね。
「1人の方がまだマシ!」という声も分かります。
相性は個人間の性格上の問題。
どうしようもありません。
(一見して仲が良さそうでも色々とあるものです…)
でも環境によってはストレスを少なくもできるはずです。
ということで改善スタートです。
まずはナースステーションに漫画や雑誌を置いてみました(もちろんスマホは禁止です)
2人体制になりヒマな時間ができるからダメなんだ。
だったらヒマな時間を娯楽の時間に変えみよう、という試みです。
さらにナースステーションにお菓子とスイーツを常備しました。
空きっ腹はイライラの原因になりますからね。
一緒に食べて上司の悪口で盛り上がれば、ストレスも少しは軽減されるはずです。
「昨日はミソノ代行の噂話で盛り上がりました!」
「もちろん良い噂だろうね?」
「逆っす!」
「ぶっ〇ろす!」
という嬉しいような悲しいような状況。
また私自身が夜勤に入る時は、お互い気持ちよく過ごせるよう工夫もしてみました。
例えば、相方ナースの性格や特徴をしっかり把握してその人のペースに合わせて自分も動く、相手の苦手分野は率先して自分が引き受けるなどなど。
1人夜勤は改善できたのか?
「職場を良くしたい!」こうした私の考えが周りにも伝染してくれたようで、離職は確実に減っていきました。
「お金がない…。お金がない…」とボヤいていた院長もホクホク顔です。
人が辞めなくなり、採用にかかるお金が激減しましたし、新しいスタッフを育成するコストもかなり減ったようです。
こうしてスタッフ不足は解消し、1人夜勤も解消できたのです。
1人夜勤の体への影響は?
1人夜勤は短期的には可能です。しかし長く続けるのは、人体の構造上難しいと言わざるをえません。
アメリカ連邦政府の研究所によれば、人間が休憩なしで無理なく働けるのは5時間までだそうです。
もちろん無理をすればそれ以上も可能です。
しかし集中力低下、慢性疲労、睡眠障害などの悪影響が出てくるそうです。
そうした状況が長い期間続けば、身体への影響も大きくなり、もし体を壊せば完治にも時間がかかるという研究結果もあります。
(無理な夜勤は命を縮める行為でもある…)
1人夜勤は人体にとって害悪です。
私は運よく管理職になり、職場改善ができました。
でももし一般職のままだったら…
遅かれ早かれ退職していたはずです。
とはいえ、このご時世ですら仮眠もろくに取れない病院が多くあります。
「仮眠は2時間しっかり熟睡できる環境」
人間が健康的に夜勤をするには、この条件が必須不可欠です。
仮眠もとれないような夜勤は、いつか体を壊します。
そんな職場で働く価値はあると思いますか?
しっかり仮眠できる職場を探す方法は?
仮眠が取れるかどうかは面接中に聞けばわかります。しかし肝心な「仮眠の質」については、実際に働いてみないと分からないですよね。
「でも15分しか寝られなかった…」
「ナースコールですぐ起こされる…」
「ステーションの隅で横になるだけ…」
こんなことは日常茶飯事です。
1.仮眠はしっかり2時間
2.いつも決まった時間に
3.専用の仮眠室で
健康的に働くなら、最低限この3つを満たす職場が望ましいです。
(カプセル型の仮眠室を導入。耳栓もOKだからイビキも気にならない。ぐっすり寝れます!)
でもこうした内情は入職して初めて分かるものです。
だから転職は失敗しやすいのです。
じゃあどうしたらいいのか?
それには転職サイトを活用するのが確実です。
転職サイトにはアドバイザーと呼ばれる方がいて、職場の内情を事細かに教えてくれるからです。
仮眠についても現役の看護師に聞いてくれるため、すぐに分かるでしょう。
こうしたサービスは全て無料で利用できます。
失敗しないためにも、将来のためにも賢く利用しましょう。
ただし転職サイトには、悪徳業者もいます。
参考:看護師が悪質な転職サイトに騙されたときの話
(転職サイトの生々しい裏話です…。ぜひご一読を)
こうした悪徳業者には引っかからないよう要注意です!
ではよい看護師ライフを!